世界一の記憶術 斉藤直子
2012-03-30 14:06:11
テレビの番組で、時折、めちゃくちゃ記憶力のいい人が出たりする。
スプーン投げの超能力少年とか、あるあるとか、
テレビ局はしばしば、うそを真実のように放送するから、
どこまで本当なのか?と半信半疑で見ることも少なくない。
だって、人間技を遥かに超えた記憶力だから。
一方で、あんなにすごい記憶力があれば、
いや、あの10%でもあれば、次の試験は一夜漬けでもばっちりなのに
などと思ったりする自分もいる。
さて、世界一の記憶術によれば、
世界記憶選手権が始まったのは、1991年のことだという。
競う種目は、日常で使うもの、名前と顔、単語、数字など。
そして、オリンピックのように、短距離的種目と長距離的種目の両方。
いわば、脳の十種競技だという。
もっとも、そんな脳の十種競技よりも、彼らの記憶の仕方のほうに興味がいく。
物語法
記憶術というと、このやり方をイメージする人が多いのではないだろうか。つまり一見何のつながりもないようにみえる事柄を、自分でおもしろく物語として結び合わせていく方法だ。
(中略)
そのときのコツは、
「つながりが弱かったりつまらなかったりすると脳はすぐに忘れるので、できるだけおもしろい強烈なものにする」、
「できるだけ細部まで生き生きと空想する」
ということである(ただし自分の脳が「おもしろい」と感じればいいのであって、ほかの人にまでおもしろがられるような話でなければいけないということではない)。
ぺグ法
「ぺグ」とは「かけ釘」のこと。
「関連づけ」のために、自分が使いやすくわかりやすい目印を、頭の中に持つ方法だ。帽子を「かけ釘」に引っ掛けるように、覚えておきたい事柄をその目印に結びつけて記憶する。
記憶術の初心者によく紹介されるのが、体の各部分を目印にすること。
(中略)
このときにちゃんと体の上のほうから順番に認識しておくことが大切。
買い物リストはともかく内容を覚えさえすればいいが、対象によっては記憶する順番が大切になることもあるからだ。
ジャーニー法
世界記憶力選手権に出場する選手たちのほぼ全員が使っているのが、「ジャーニー法」というやり方である。
「ロキ・システム」、「ルート法」などと呼ぶ人もいる。
この方法では、短時間で大量の情報を正確に覚えることができる(それが本当だということは、実際選手たちが出す記録が証明している)。
「ぺグ法」でも何らかの目印を使ったが、この方法で使う目印は「場所」である。
(中略)
「ジャーニー(旅)法」と名づけられたのは、頭の中でルートをたどる旅をして、記憶を想起するからである。
メジャー・システム
ヨーロッパなどアルファべット圏の選手たちの多くが使っているのが、「メジャー・システム」と呼ばれるやり方である。
これは以下のごとく、数字をアルファべットの子音に置き換えるものだ。 0→ z,s,c 1→ t,d,th
(中略)
この方法だと何がいいのか?
それは「組み合わせができる」ということである。
例えば「15」という数字は置き換えれば「d・l」である。dlから「doll(ドール・人形)」をイメージする、というわけだ。
ドミ二ク・システム
ドミニクさんは、自分に合った記憶方法を模索するうちに、頭に一番よくイメージが焼きつくのは「人物」が「何かをしている」ところを想像したときだ、ということに気がついた。
(中略)
そのことを踏まえてでき上がったのが次のようなやり方である。
(1)まず自分なりのシンプルなアルファべットの対応表を考えた。
(中略)
(2)そしてそれをイニシャルにして、18=A・H→アドレフ・ヒトラー 53=E・C→エリック・クラプトン というように、00から99まで、100個の数字すべてに人物のイメージをあてはめた。
(中略)
(3)数字は4つずつ記憶する。そのときに「前半の数字の人物」+「後半の数字の人物の"動作"」を組み合わせる。
べン・システム(トランプの記憶法)
「僕は『2枚1組』で1つのイメージを考えるようにしました。ハートのA・スべードのKというのと、スぺードのK・ハートのAというのは、同じカードでも組み合わせの順番が違うので、それぞれ異なるイメージを割り振っています」
(中略)
つまり、基本の方法=52個のイメージを52か所の目印を使って記憶
ベン・システム=26個のイメージを、9か所の目印を使って記憶(2枚1組なのでイメージは26個、目印1か所につき3個のイメージを置くので、必要なのは9か所) ということだ。
思い出さなければならないイメージの数も、使う目印も少ない。それがべンさんの早さや、大量に覚えられることの秘密だった。
トップクラスの選手の数字の記憶法
数字を覚えるとき、多くの選手が0から99まで100個のイメージを使って記憶する、と先に書いた。しかし、ヨーロッパのトップクラスの選手たちは「0カら999」まで、1000個のイメージを駆使して数字を記憶していたのである。まさに数字記憶の上級編。
30個の数字を覚えるとき、2ケタずつでは15個のイメージが必要だが、3ケタずつなら10個のイメージを思い浮かべるだけですむ。3ケタの数字からどのようにイメージを作るかは、やはり基本をメジャー・システム(90頁)によっている。
正直言って、読んでいても、どうしてこれで短時間に膨大のものを記憶できるのか、非常時不思議な気がする。
きっと、特殊な人たちなのだろう。
そう考えてしまうのが楽だが、
記憶の達人たちも、当初は
「なんだか10個くらい買わなきゃいけないものがあったような気がするけど・・・何だったっけ?」
こうしたレベルから少しずつ訓練を始めているという。
このほかにもマインドマップ法とか、人それぞれ、フィットする方法が異なるとも言う。
いい方法が見つかったら・・・
もしかしたら、私も記憶力世界一になれるチャンスがあるかもしれない
ふと思っても見たりするのがこの本・・・。