シルクセリシン

  • 2008年3月15日(土) 14:16 JST

天然繊維である絹糸の表面には、セリシンと言う物質がフィブロインと言う絹糸本体を取り囲み繊維を構成しています

 

このセリシンは今まで絹糸を染色する際、精錬と言う工程で剥がされ、排水として流されていました

この精錬と言う工程がないと、絹糸に染料が浸透しないので、絹糸独特の発色性と、しなやかさがでないからです

 

セリシンの特性

セリシンは約18種類のα-アミノ酸で構成されている。特異的なことは、セリン、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸、アルギニン、リジンのような水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの親水性基をもつアミノ酸が全体の3/4を占めているので、熱水やアルカリ液で容易に溶解する。最大の特性はセリンが30%含まれるなど、水酸基を多量に含むので保湿性に優れることである。
近年、広島大学の加藤範久教授らを筆頭に多数の研究者によりセリシンの機能性が追求され、様々な特性が明らかにされた。まず、強い抗酸化性を有し活性酸素の発生を抑制すること及びチロシナーゼ活性の阻害作用を有しメラニン色素発生を抑制することが挙げられる。
化粧品素材として種々の抗酸化性物質が使用されるのは、大気中の酸素にさらされる皮膚に発生する活性酸素を抑制するためである。セリシンは、保湿性や皮膚のメラニン色素発生の抑制効果と相まって美白効果を発揮するので、化粧品素材として有望である。
また、古くから製糸工場の従業者は手肌が荒れることは少なかったという事実が知られている。これは、人の肌に存在する天然保湿成分に多量のセリンが含まれ、他のアミノ酸組成もセリシンと類似することなどで明らかなように、生体親和性に優れるセリシンが皮膚ケアーの機能を果たしていたからである。
これらの機能はアトピー性皮膚炎の治癒に有効であり、繊維加工によりセリシンを定着したインナー製品が製造されている。さらに、マウスを用いた実験により抗酸化性機能が皮膚癌を抑制するとの報告がある。
セリシンを食品へ添加することも検討されている。セリシンは消化性が低いので、便秘を改善する効果がある。この難消化性と抗酸化性との相乗効果は、消化管内の活性酸素が関与する疾患の予防・治療に有効であることが論じられている。さらに、マウスにセリシンを摂取させると抗酸化機能により、大腸癌が抑制されることが報告されている。
一方、ヒトの繊維芽細胞を用いた実験で、細胞増殖の促進効果が認められた。生体親和性が優れることを生かして医療用の創傷被覆材、血管内皮形成材、臓器形成材およびバイオ用の細胞培養基などへの用途が、農業生物資源研究所の坪内絋三研究チーム長らにより提唱されている。

独立行政法人 農業生物資源研究所

 

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